たちあおい (立葵) 

学名  Alcea rosea (Althaea rosea)
日本名  タチアオイ 
科名(日本名)  アオイ科
  日本語別名  ハナアオイ、ツユアオイ、オオアオイ、カラアオイ
漢名  蜀葵(ショクキ,shŭkuí)
科名(漢名)  錦葵(キンキ,jĭnkuí)科
  漢語別名  熟季花(ジュクキカ,shujihua)・蜀季花、端午錦(タンゴキン,duanwujin)・端午花、一丈紅(イチジョウコウ,yizhanghong)、麻杆花(マカンカ,maganhua)、戎葵(ジュウキ,rongkui)、棋盤花、斗蓬花、光光花、鋍鋍花、胡葵、呉葵、龍船花
英名  Hollyhock
2005/06/09 跡見学園女子大学新座キャンパス
2005/06/13  跡見学園女子大学新座キャンパス
 タチアオイ属 Alcea(蜀葵 shŭkuí 屬)には、地中海地方~中央アジアに約60-80種がある。

   タチアオイ A. rosea (Althaea rosea;蜀葵;E.Hollyhock)

 近縁のウスベニタチアオイ属 Althaea(藥葵 yàokuí 屬)には、同じような地域に約9-12種がある。

   シチゴサンアオイ A. ficifolia(A.armeniaca) 
中央・西南アジア原産、日本の一部に帰化
   ウスベニタチアオイ
(ビロードアオイ) A. officinalis (藥蜀葵・土黃芪;E.Marsh mallow)
         
北アフリカ・歐洲・西&中央アジア・新疆・シベリア産 古代ギリシアですでに薬用。
         『中国本草図録』Ⅳ/1741
   
 アオイ科 Malvaceae(錦葵 jĭnkuí 科)については、アオイ科を見よ。
 漢名のうち、蜀葵・戎葵とは西方からの外来と考えられていたことを示す。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)蜀葵に、「和名加良阿布比」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』12
(1806)に、「蜀葵 ハナアフヒ ツユアフヒ タチアフヒ オホアフヒ オホガラアフヒ南部」と。
 属名は、ギリシア語のアルタイノ althaino(「治療させる」)に由来、属中に薬用植物が多いことから。ことに、地中海東部沿岸地方原産の同属の植物 ウスベニタチアオイ(ビロードアオイ) A. officinalis は、古来著名な薬用植物であった。
 タチアオイの来源については、おおむね二説ある。
   (1) 一説に、タチアオイは西方起源、中国に入ったのは盛唐
(710-765)頃とする。
     
(原産地は、一説に小アジア・クレタ・ギリシアなどの地方、一説に中央アジア)
   (2) 一説に、タチアオイは中国原産とする。
     
(『植物智』は、「蜀葵」の名からして四川起源説)

 (2)の立場に立てば、タチアオイはフユアオイと同様に古くから親しまれた花卉となる。
 北村四郎は「原産地は、現在野生化しているバルカン半島でも、小亜細亜でもなく、新疆省からでたものであろうと想定する。野生種では Althaea litwinovii Iljin(パミール・天山)に近い」と(『新註校定国訳本草綱目』297)。 
 日本には古く渡来したが、年代は未詳(中国での利用・栽培史の解釈に依存する)
 ヨーロッパには、一説に14世紀ころ小アジアから入ったといい、一説に16世紀ころに中国から入ったという。
 1613年に出版された園芸書に、八重ざき品が記載されている、という。
 中国・日本におけるタチアオイの歴史については、先ずあおいを見よ。
 『爾雅』(B.C.2c.)に「菺(ケン,jian)、戎葵(ジュウキ,rongkui)なり」とあり、郭璞(276-324)註に「今の蜀葵なり。葵(フユアオイ)に似て、華は木槿華(ムクゲ)に似る」とある。ただし、これがタチアオイであるかは、定まらない。
 根・葉・花・種子を薬用にする(『全国中草薬匯編』)
 中国における「葵」の象徴機能については、あおいを見よ。
 日本古代における「あふひ」「葵」などについては、あおいを見よ。
 15世紀中ごろの『下学集』の葵の項に 「千丈紅」の語が見え、少なくともこれは タチアオイであろう、とする。

   日の道や葵
(あふひ)傾くさ月あめ (芭蕉,1644-1694)

 
 ヨーロッパでは、昔ウスベニタチアオイの根の粘液質から作ったキャンディーを作り、マシュマロ marshmallow と呼んだ。(今日ではアラビアガム等から作る)。 


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